完全満室は嘘
50室のワンルームを保有する知り合いの不動産経営者が、いつも完全満室です、というのですが本当でしょうか? というご質問がありました。
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たぶん、嘘だと思います。
一つが埋まると、他が退去する、というモグラ叩き状態になってしまうのが普通だと思います。
部屋数が多いほど、そうなりやすくなります。
仮に、50室の巨大なワンルームマンションだとして、平均で24か月の入居、募集して埋まるのが平均で3か月だとします。
各部屋が満室なのは、24か月÷27か月で、88.8%の確率となります。88.8%を50乗すると、0.276%となるので、×365日すると、1年のうちで1.01日しか、完全満室にできない、という確率に落ち込みます。1年で、たったの1日です。
完全満室の確率を上げるには、①空室の期間を減らすこと、または、②入居の期間を長くすること、ですが、②は退去理由がさまざまなためコントロールできません。コントロールできて、確率に大きな影響を与えるのは、①です。
上記の例で、平均で24か月の入居、募集して埋まるのが平均で1か月だとします。 実際に、都心部であれば、退去後1か月で次の入居が決まったりします。
各部屋が満室なのは、24か月÷25か月で、96.0%の確率となります。96.0%を50乗すると、12.98%となるので、×365日すると、1年のうちで47.40日が完全満室、という確率にまで上がりますが、50室くらいになるとそれでも低水準です。
これが地方だと、1か月で次の入居を決めるのは不可能でしょうから、50室もあると常時、空室が発生してしまいます。
話しは変わりますが、戸建の方が、ワンルームよりも入居が長くて、満室になりやすい、というのをよく聞きます。
しかし、確率的にはそうともいえません。確かに、入居の期間は長いかもしれませんが、募集に時間がかかりやすいため、完全満室の確率は低減してしまいます。
例えば、戸建を10戸所有していて、平均で72か月の入居、募集して埋まるのが平均で6か月だとします。
各部屋が満室なのは、72か月÷78か月で、92.3%の確率となります。92.3%を10乗すると、44.9%となるので、×365日すると、1年のうちで163.9日が完全満室という確率になります。
一方で、例えば、ワンルームを10戸所有していて、平均で24か月の入居、募集して埋まるのが平均で2か月だとします。
各部屋が満室なのは、24か月÷26か月で、92.3%の確率となります。92.3%を10乗すると、44.9%となるので、×365日すると、1年のうちで163.9日が完全満室、という確率になります。
つまり、ワンルームでも、戸建の場合と同等の確率になりうるのです。
(本件は、1〜90までが満室、91〜100が空室などと割り当てた、部屋の数の100面サイコロを同時に振った場合に、365回やって何回くらい、すべてのサイコロが満室となりやすいか、という確率を日数で表現したものです)
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