新築 フロンさんの銀行融資Q&A

元某大手銀行で融資業務、貸出資産の自己査定等を行ないました。平成の終わりまで融資審査業務をしていました。私自身も大家さんです。コメントはFacebookで受け付けています。

銀行をとりまく環境〜日銀や金融庁の役割とは何か

  銀行にとって、日本銀行金融庁が果たす役割について教えてくださいというご質問がありました。 


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   日本銀行(以下、日銀)は、通貨(マネー)の発行人であり、市場に流通するマネーの需要と供給のバランスを調整したり、金利政策を通じて銀行の貸し出し姿勢に影響を与える、という役割を果たしています。銀行に対する最後の貸し手、にもなります。
   また、外国為替市場において急激な変動があった場合には、市場介入して安定させることもあります。

   一方、金融庁は銀行の監督官庁として、金融システムの安定、利用者の保護や貸出促進(ときには、貸出抑制)を図る、という役割を果たしています。
  具体的には、銀行業務が適切に行われているかを点検するための金融検査を行ない、指導しています。
  (悪質な場合は、業務改善命令や業務停止命令等発出されたりします)

   不動産業界を取り巻く環境を考えてみたとき、2016年2月に導入された、日銀のマイナス金利政策による影響は甚大でした。日銀がアクセルを踏みこんだのです。

  日銀は、銀行が一般企業向けの貸し出しを増やすことを期待し、プラスの経済成長と労働者の賃金の引き上げによって、物価の2%上昇を達成することを目標として掲げていたのですが、
   実際には、銀行にとって、担保保全が確実で、長期にわたり利ざやが確保しやすい、不動産関連等融資へと大量の資金が流れ込んだ、のは既知のとおりです。

   銀行はもともと、個人向け住宅ローンを好み、顧客を奪い合っているくらいでしたから、サラリーマン向けのアパート融資にも積極的になり、2016〜2017年は過熱感に歯止めがかからない状態でした。

  そうしたとき、2018年にかぼちゃの馬車の問題が起こり、金融庁がブレーキを踏み込みました。
 これにより、銀行の不動産関連融資が急速に冷え込んだのです。
  2018年〜2019年は日銀がアクセルを踏み、金融庁がブレーキを踏み同時に踏まれているような状態で、ハンドルのコントロールが効かない状態でしたが、

  2020年4月からのコロナ融資(信用保証協会保証付き融資)をきっかけとして、一般企業向け貸出が急速に伸び、金融機関の貸出姿勢が変化しつつある過渡的状況にある、ともいえます。

 (銀行員の多くがよく理解してない部分ですが、コロナ融資は日銀や金融庁ではなく、経済産業省中小企業庁)や地方自治体が主導しているものです)

  これからコロナ融資の据え置き期間が終了し、融資返済が始まる企業も増えてきます。

  長引く緊急事態宣言の延長で、民間企業の経営は傷み続けています。
  赤字決算となった民間企業に対してどのような救済措置を行なうのかが問われます。

  その政策を担うのは、日銀でも金融庁でもなく、経済産業省中小企業庁)や地方自治体です。
   次なる一手が待たれるところです。

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