デッドクロスや税引き後キャッシュより、バランスシートが重要
デッドクロスになると税金が払えなくなって黒字倒産する、ということですが、銀行目線で、具体的に教えてください、というご質問がありました。
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まずは、表題のように、デッドクロスになって税金が支払えなくなり黒字倒産する、ということはないですから、だまされないようご注意いただきたいと思います。
例えば、5000万の物件があって、土地が3000万、建物が2000万で、評価額も同じだとします。耐用年数は20年、金利は2%で返済は20年の元利均等返済とします。
借入5000万で、月々の返済は25.3万となります。
残債が土地の評価額の3000万以下になるのは、108回目で、9年後です。
減価償却は単純に毎年100万ずつ行なうとします。始めの頃は元本返済が年間で204万、利息が100万くらいですが、108回目の頃には、元本返済が年間で244万、利息が60万になっています。
(デッドクロスとは、減価償却よりも元本返済が多い状態ですから、借入れした当初から元本返済204万、減価償却100万で▲104万のデッドクロス状態(104万の担保余力が生まれた状態)です。108回目の頃は元本返済244万、減価償却100万で▲144万のデッドクロス状態(144万の担保余力が生まれた状態)です。デッドクロス状態になった分だけ、担保余力が生まれます。)
確かに、利息はどんどん減りますし、一方で元本返済は増えますから、増えた40万の元本返済に対しての税金が余分にかかるようになります。
しかし、税率は20パーセントくらいでしょうから、増える税金は年間でも8万くらいです。これが果たして、支払えないでしょうか?
一方で、残債が土地の評価額3000万以下になると、担保余力がどんどん、生まれるようになります。
例えば、10年後の120回目ですと、残債が2750万まで落ち込みますから、土地の担保余力だけで250万も生まれています。
(正確には、銀行の担保評価は9年後だと残債3000万に対して土地3000万、建物1100万で4100万となり、担保余力は1100万です。 10年後だと残債2750万に対して土地3000万、建物1000万で4000万となり、担保余力は1250万です。)
この担保余力を使えば、銀行から運転資金200万くらいは、余裕で、簡単に調達できますので、年間で増えた税金8万くらいなど、軽々と、楽勝で、返済できてしまうのです。
デッドクロスがどうとか、税引き後キャッシュがどうとかいう人ほど、バランスシート分析(貸借対照表の分析)をやっておらず、一面的なとらえ方で正しくありませんから、ご注意いただきたいと思います。
(デッドクロスを唱える人、というのは、銀行から運転資金を借りたことがない、とか、そもそも、運転資金の存在を知らない、かのどちらかですので、セミナーなどで、変に信じこまないようお願いいたします。ちなみに、表題は初めからデッドクロス(元本返済>減価償却費)となっています。)