1000万以下の融資案件は儲からない
銀行はなぜ、個人向けカードローンや事業者向けビジネスローンに力を入れているのでしょうか? というご質問をいただきました。
カードローンやビジネスローンというと、金利がそこそこ高めで、融資金額が最大でも1000万程度、という範疇に該当する商品群となります。
実は、民間金融機関は、1000万以下の融資が得意ではありません。1000万以下、というと、中小零細企業向けの融資が該当します。
中小零細企業は、決算の内容が不安定で、毎年の業況の変動が激しく、将来どうなるかがわかりにくい、という傾向があります。
従って、そういった先から窓口で融資相談を受けると、業種を問わず、先ずは、信用保証協会の保証付き融資へと誘導します。
そのほうが、万が一のことがあった時に信用保証協会から代位弁済してもらえる、という利点があるからです。特に、新規先であれば、よくわからない相手なわけですから、何年か様子を見るという意味でも有効です。
もう一つの理由は、1000万以下の融資を何件やったとしても、銀行として、さほどの利益が見込めない、ということがあります。
確かに、頑張って融資をしたとしても、さほどの利息を取れるわけではありませんから、わからない話でもありません。特に、メガバンクは嫌がるでしょう。
(そこに目をつけたのが、消費者金融でした。50万を限度に、金利15パーセント以上をとる、という手法は、500万で1.5パーセントを貸すのと同等の効率ですから、恐ろしい程のスピードで業績を伸ばし、菱形のメガバンクよりも、株価や業務純益が高い、という時期もありました。
しかし、2000年代後半に、過払い金の問題がクローズアップされて経営不振となり、廃業するか、メガバンクの傘下に入りました。
さて、話を戻すと、民間金融機関としては、1000万以下の範疇というのは、ニーズがあってもなかなか利益が得られない、ということで、審査にはなるべく時間をかけずに、金利を高めにとりたい、という思惑が常にあります。
カードローンやビジネスローンは、信用保証協会で融資を断られた場合の受け皿として、非常に有効です。だからこそ、総量規制の対象外とされる、カードローンやビジネスローンに力を入れているわけです。
(ビジネスローンについては、貸し倒れリスクが高いため、民間金融機関によっては、審査をかなり厳しくしたり、注力していない場合もあります。)
(1000万以下の融資は、日本政策金融公庫や信用保証協会、商工会議所や商工会のマルケイ融資にノウハウが蓄積され、一番、得意としています。ただし、不動産の物件購入は期間が10年か、最大で15年となりますので使いにくいです。
主に大規模修繕等の目的に活用するのがよいかと思います。)